5年がかりで虎が来ます!倉敷民藝館
民藝とは… 私の言葉に置きかえて一言でいうと
【観賞用ではなく、実用的でありながら美しいもの】。
自分ならどんなものが欲しいかイメージしながら展示を見ることにしました。
門をくぐると、近代社会から切り離された別空間。
しばし立ちつくしてその雰囲気を味わいます。
館内に入り展示を見ていると、あることに気づきます。
<作者名がない>
と、いうことは…(のちほど答えが出てきます)
また、大中小の鉢が重ねて展示してあるのは、民藝館ならではだなぁなんて納得しながら進みます。
(すっぽり収まる機能も展示したいんだと気づきました。実用品だもの!美術館なら重ねずに展示するはず。)
ちょうど『倉敷ガラス50周年記念展』をやっていたこともあり、関心はガラス製品へ。
一番の魅力は、少しゆがみがあること。
気泡があるのもまた良し。
(気泡がななめに入って模様のようになっている作品も!)
どちらも、巷のガラス製品にはないものです。
色も落ち着いていて、透明はもちろん、青・黄緑・赤ワイン色などなど。
ホウロウのような真っ白のお皿もありました。
そのほかに気になった作品は、刺子大風呂敷と倉敷本染手織のネクタイ。
[刺子大風呂敷]はシンプルな図案ですが、迫力があります。
縫った人に思いを馳せてみたら具体的に知りたくて、民藝館の方に伺ってみました。
こたつカバーのような用途で、生活にゆとりがある庄屋が家族で縫ったものではないかと推測されるとのこと。
女性だけではなく、男性が針を刺すこともあったそうです。
長い夜に家族みんなで囲んで縫い進めた様子が思い浮かびます。
[倉敷本染手織のネクタイ]は、ちょっと変わった形。
襟に隠れる部分が細くなっていて、表布の下にフリンジ。
模様は織で表現しています。
素材が綿なので厚みがあって、結べばまるでアクセサリーになるのでは?!
なんと売店でも販売しています。
織れる人が少ないので希少品だとか。
これは欲しい!いつの日か手に入れたい!
さらに進んでいくうちに、民藝の心がうかがい知れる文章に出会います。
初代館長 外村吉之介さん作詞の「民藝の美を讃うる歌」
(一、二略)
三 げにも親しき 市場かご
双手につつむ わが湯呑
洗えば冴やる 篭の色
拭きて艶ます 机かな
ひとつの物を大切に、愛おしく使っている気持ちが伝わってきます。
五 (略)
かよわき女 名なき民
(略)
美しきもの 生ましむる
名を刻むことのない、庶民がつくりだしたもの。
だから展示に作者名がなかったんですね
また、イギリスのレース編みボビンの説明文(抜粋)にも
「色や形がちがえてあるのは(略)まちがいのないようにするためと、
心の楽しさを誘い、仕事のはずみをつけさせる工夫です。」とあります。
心はずむ楽しい手仕事!
使い手の道具に対する愛情が感じられます。
館内を見終わるころには、この思いを誰かと語り合いたくなります。
作品を眺めながら歩けば、窓からのぞく景色もすばらしい…そんな倉敷民藝館に、ぜひぜひ足を運んでみてください!
常設展も年に2、3回入れ替えているそうです。
※展示替えのために休館することもありますので、倉敷民藝館ホームページでご確認ください
また、次回の企画展[李朝名品展]では、修復に5年かかった『民画 四瞳猛虎鵲図』が展示されます。
※2015年1月2日(金)~25日(日)の期間限定
2015年1月10日(土)には修復を手がけた吉備国際大学 馬場秀雄教授によるトークイベントもありますよ!
以上、1ヶ月ヘルパー体験中かつ倉敷2日目のKiYoNoがお送りしました。