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倉敷美観地区に風評被害が広まらないでほしい。「#美観地区は元気だったよ」ハッシュタグを作った経緯

倉敷美観地区の川舟流し

2018年7月6日〜8日にかけて岡山県を襲った豪雨。

倉敷市の中でも、真備町は報道で大きく取り上げられるほど酷い水害に遭ってしまいました。

空から撮られた、冠水してしまった真備町の様子には、私たちも大きなショックを受けました。

その一方で、同じ「倉敷市」の中でも私たちがいる美観地区は、そこまで大きな被害(水害)はありませんでした。

倉敷川の水位は普段よりかなり上がりましたが、溢れ出るほどまではいかず、美観地区にある私たちの古民家ゲストハウス&カフェ『有鄰庵』も、雨漏りが起こったぐらい。

長い雨がやんだ7月8日(日)には、すでにほぼ普段通りの美観地区が戻ってきていました。

ただ、豪雨が明けてからも、私たちのゲストハウス有鄰庵には、かなりのキャンセルが生まれてしまっています。

豪雨が明けてからのこの5〜6日間で、今後およそ1ヶ月以内のキャンセルの数はおよそ40件にも上ります。

また、美観地区の人通りも、10日(火)から13日(金)を見る限り、体感値として明らかに人は減っています。

もちろん交通インフラがない状態ではお越しいただく手段もないのですが、7月10日(火)からは岡山-倉敷間の在来線も通じており、美観地区のほぼ全てのお店が通常通りの営業をしています。

私たちのゲストハウスにお寄せいただくキャンセルに伴うメールでは、残念ながら誤解というか風評被害を感じる内容のものがあります。

「観光目的で行って良いタイミングではないのでは」
「こちらで何か被災された方々の力になれる方法を考えます」
というようなものです。

同じ「倉敷」でも二種類の「被害」があります

今回の西日本豪雨で、やや分かりづらくなっているとしたら、同じ「倉敷」でも二種類の「被害」があるということです。

  • 真備に代表されるような、「水害」がひどかった地域
  • そして私たちの美観地区のような、「風評被害」が生まれてきている地域

前者についてはまだまだ生活インフラが整うまでに時間がかかりますし、本当にこれからも大変な状況です。

ただ、後者については、自粛をされたりキャンセルをされたりすることは、マイナスにしかなりません。

あまり「自分たちも被害者」とは言いたくないのですが、私たちの立場としては、一番嬉しいことは普段通り遊びに来てくださること、美観地区を楽しんでいただくこと、です。

前者の水害に比べると後者の風評被害はまだクローズアップされていないと感じており、特に美観地区の観光業も大きな産業である倉敷市にとっては、これからボディブローのように響いてくることは必至です。

美観地区で仕事をするということはどういうことか

私たちはもともと、美観地区で仕事をすることで、岡山県内のいろいろな生産者、作り手、メーカーの方々に貢献することを目指しています。

カフェではお米、卵、お醤油、猪肉、鯛など地元の食材をなるべく使うようにし、ゲストハウスでは倉敷や近隣の面白い場所・お店をご紹介し、美観堂というショップでは岡山県内のいいものを見つけてその価値を伝え、販売しています。

美観地区というのは岡山の中でとても大きな繁華街のようなもので、私たちはそこで仕事をする者として、県内の様々な方の思いを背負って、それを伝え・販売することで、その皆さんに利益を還元したいと思ってやっています。

このように大変な状況になっているときこそ、私たちは頑張らなければいけないし、だからこそなおさら、自粛ムードで美観地区に来る方が減ってしまうのがとてももどかしいのです。

こちら側からの発信に加えて、来てくれた方にも頼りたい

豪雨の後、私たちも私たちにできることを考えて発表してきました。

また、風評被害を避けるべく、自分たちからの発信もなるべくするようにしています。

ただ、自分たちからの発信だけでなく、来ていただいた方こそ今の美観地区が普段と変わらないことをよく分かってくださっていると思うので、その方々の力も借りられないかと思いました。

それで、うちの会社の全店舗で、7月11日(水)から以下のようなA6サイズの紙をお客様にお渡しし始めました。

その日以来、私たちの思いを汲み取って発信してくださる方が日に日にいらっしゃっていて、とても嬉しく感じています。

また、今日(7月13日)から、うちの店舗だけでなく、美観地区の他のお店さんを回って、主旨を説明することを始めました。
(こちらの時間があまり取れておらず、まだ回れていないところはすみません!)

それで賛同してくれるお店も多く、明日からはうち以外のお店でも配布できそうです。

やはり美観地区全体のことなので、うちが単体でやるよりもいろんなお店で手を取り合ってできた方がいいと思いますので。

さいごに

このハッシュタグは一つのきっかけとして機能すればいいなと思って発信したものですが、いま美観地区を訪れてくださった方が、こんな状況だからこそ、美観地区は普段通りだったよということを周りの方に伝えてくださると、とても嬉しいです。

同じ倉敷や岡山で大変な状況になっている地域の方々のためにも、私たちはここで頑張りたいと思っています。

また、これを読んでくださった方も、ぜひ美観地区に遊びに来てもらえると、とても嬉しいです。

スタッフ一同、美観地区でお待ちしています。

この記事を書いた人

犬養 拓

有鄰庵(株式会社有鄰)の代表取締役。母方が倉敷にゆかりの深い大原家ということもあり、愛着のある倉敷のために2015年1月より有鄰庵に加わり、2016年7月から代表に。 「心の豊かな暮らしを創る」ことを目指す。 好きなものはリラックマ。