春とヤギとカバ!児島虎次郎記念館
倉敷に来る前に、[わしの眼は十年先が見える-大原孫三郎の生涯-]城山三郎著を読んできた私。
本には児島虎次郎さんのことも書かれていて、どんな作品を残したのか気になっていました。
入る前から期待が高まります。
ついつい出てしまう独りごと。
「か…かっこいい!」
作品は時系列で展示してあります。
館内を進むうちに筆づかいの変化が気になってしまい、どうしてなのか知りたくなりました。
その後、虎次郎さんは絵の具をパレットにとらず、チューブから直接キャンバスに塗る技法を使ったことが判明。
だからあんなに強い色で、デコボコしていたのか!
(予習していなくて、すみません)
大学時代の学友であり、画家でもある太田喜三郎は、非常な苦心と研究を重ねたその技法について
『こんな不便な材料で、かくまでフォルムを掴み得た事に驚嘆せずに居られない。』という言葉を残しています。
※[大原美術館の誕生、画家児島虎次郎の想いと建築家薬師寺主計の思い]上田恭嗣著より抜粋
虎次郎さんの「この技法でないと表現できない」という強い気持ち、強い意志を感じます。
私が一番気に入ったのは『春の光』です。
ヤギが4匹、満開の梅林と共に描かれています。
淡い色合い。
見ているだけで、冬の寒さをひきずった、かすかな春のあたたかさを感じるようです。
この絵は1916年(大正5年)の作品。
[児島虎次郎]松岡智子、時任英人著には当時の様子が詳しく載っています。
特筆すべきは…
☆動物を描くのはほとんど初めて
☆8号、25号、50号、100号と次第に大きな画面へ写生した
☆(制作中の)一ヶ月はほとんど外出せず、朝から晩まで休む時間もないくらい描き続けた
そして、私が興味をもった出来事が。
2ヶ月ほど前に娘さんが産まれた!
この作品が特に淡く、やさしい印象を受けたのは、娘さん誕生の影響があるかもしれません。
ちょうど一年ほど前には『どうも絵を描く心持ちになれぬ。』と日記に書くほどのスランプだったようです。
※[児島虎次郎研究]松岡智子著より抜粋
この『春の光』は、まるで描く喜び、生きる喜びにあふれているように感じます。
だから惹かれたのかもしれません。
最後に、虎次郎さんが命を懸けた『明治神宮外苑聖徳記念絵画館 壁画』(東京都新宿区)を、ぜひこの目で確認したいという余韻を残しつつ外へ。
この建物は、倉敷紡績株式会社の工場付属倉庫だったそうです。
よく見てみると、絵画がかけられているのは煉瓦の壁を白く塗ったもの。
外壁のアーチの上にあるマークもなにか意味がありそう。
オリエント室の受付の方に聞いてみたところ、
「あれは倉紡(倉敷紡績株式会社)の昔の社章です。
【ニサン】といって、『一番であっても、常に二番三番の気持ちでいるように』という孫三郎さんの言葉です。
まぁ、つまり『驕らずに謙虚であれ』という意味です。(ニッコリ)」とのことでした。
その孫三郎さんの言葉を胸に刻みつつ、児島虎次郎記念館をあとにします。
記念館はアイビースクエア内にあります。
ここはNHK連続テレビ小説「マッサン」の撮影も行われたところです。
歩くだけで、ヒロインの気分?!
素敵な景色に出会えます。
絵画の写真は載せることができないので、ぜひ実物を見に来てください!
*おまけ* 隣接するオリエント室の感想
☆エジプトの河馬(カバと読みます)が気に入りました。
☆人生ゲーム世界版のおみやげカードにある[スカラベ]の実物が!
☆イランの中空ガラス小球。
いろんな角度から見てみましたが、まちがいなく宇宙人です。
以上、1ヶ月ヘルパー体験中かつ倉敷6日目のKiYoNoがお送りしました!